取引先などから理不尽な要求を突きつけられる「カスタマーハラスメント」が問題になっています。
自由民主党の雇用問題調査会カスタマーハラスメント対策プロジェクトチームは、カスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」とします)対策について提言をとりまとめ、岸田文雄首相に提出しました。
対策の強化にあたっては、カスハラに該当すると考えられる一定の範囲を明確化し、労働者、企業、消費者などが「やってはいけない行為である」ということを共通認識として共有し、対応することが必要だとしています。
そのために代表的な事例を整理し、周知を図るとともに、企業・業界団体における対策や消費者教育の強化を図るべきだとしています。
カスハラにより労働者の就業環境が害されないよう、企業として、現場任せではなく、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制整備など雇用管理上の必要な措置を講じることを事業主に義務付ける法整備なども念頭に、労働者保護対策を強化することが必要であるとしています。
その際、消費者の権利抑制にならないように留意しつつ、検討を進めるべきであるともしています。
厚生労働省や企業、業界団体でのマニュアルの作成やそれに基づく取組み、警察等との連携体制を強化する動きがみられることから、そうした取組みを加速させるとともに、企業においても従業員の顧客対応に関する研修の強化などに取り組むべきであるとしています。
そのためには政府による支援強化が必要であり、関係省庁が政府内で連絡調整体制を構築し、取り組むべきであるともしています。
国民が、消費者の権利と責任について正しく理解し、責任ある消費者としての行動をとれるようにするために、消費者教育の強化が必要であるとしています。
厚生労働省がことし公表した、職場のハラスメントに関する実態調査報告書でも、セクハラやパワハラと並び「顧客等からの著しい迷惑行為」が深刻なことがうかがえます。
同省も、労働政策総合推進法の改正に向けて議論を進めていく方針を示しています。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック